11月22日付 日刊スポーツの報道「震度5強で倒壊恐れのマンション16棟に」へのコメント:
http://www.nikkansports.com/ns/general/p-so-tp0-051122-0004.html

 首都圏のマンションなど21棟の耐震強度が偽造されていた問題で、国土交通省は21日、既に完成した14棟の強度を再計算した結果、震度5強の地震で倒壊の恐れがある建物が、これまでに判明した2棟を含め計13棟に上ることを明らかにした。工事停止中の3棟も同様の状態だった。千葉県は同日、姉歯秀次1級建築士(48)が設計に関与した共同住宅がこれまでに明らかになったものを含め、少なくとも6都県に89棟あると発表。マンション・ショックはさらに拡大しそうだ。

 国土交通省の再検査の結果、耐震基準を満たしておらず、震度5強の地震で倒壊の恐れがあると発表された16棟(完成済み13棟、工事停止中3棟)のうち、最も構造が弱いと指摘されたのは千葉県船橋市に建設中のマンション「グランドステージ船橋海神」。震度5強どころか、中規模の地震で損傷すると指摘された。

 建設計画によると、グランドステージ船橋海神は地上11階、29戸。来年2月の完成予定に向けて9階部分まで建設が進み、低層階にはガラス戸がはめ込まれていたが、1週間ほど前から建設が中断されている。「住居専有面積151・44平方メートル 販売価格5250万円〜5470万円」などと書かれた広告看板は、そのままになっていた。

 隣接する一戸建てに住む会社役員の男性(30)は「死ぬときは死ぬのだろうけど、倒れてくるかと思うと怖い。早く取り壊してもらいたい」。近所のマンションに住む男性(63)は「工事が早くて『手抜きじゃないの』と近所で話していた。建設現場にはよくある、鉄筋の圧接作業をしているのを見たことがなくて、おかしいと思っていた」と不安げに話した。

 国交省の再計算は、問題物件のほとんどで建築確認検査を担当した指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)などが保存していた建築確認時の記録をもとに、独立行政法人建築研究所(茨城県つくば市)が実施。大規模地震に対する強度は、建築基準法で最低限必要と決められた数値の26〜56%しかなかったという。

 千葉県はこの日、姉歯建築士が建設に関与した共同住宅が埼玉(1棟)東京(44棟)千葉(20棟)神奈川(19棟)福岡(1棟)鹿児島(1棟)など89棟あると発表した。3棟は所在地が確認できていないという。姉歯建築士は千葉県の聞き取りに対して、これまでのホテルを含む21棟以外、構造計算書の偽造はしていないと話しているというが、不安はさらに拡大しそうだ。

[2005/11/22/07:48 紙面から]
「民間でできることは民間で」
そんな政府の方針が、最悪な形で裏切られた事件といえよう。
構造計算のチェックが膨大なので、指定業者へ民間委託し、そこのOKサインが出ていれば、建築許可申請を通してあげますよというシステムなのだ。
建築主であり、指定確認検査機関であった「イーホームズ」。
ヒューザーに代表されるような建築主らに、望み通り(坪単価が安くなるような)の設計をしてくれる設計事務所があると紹介した木村建設。
実際に、構造計算偽造に手を染めた姉歯1級建築士。
本来、建築許可を出す役所が構造計算の正当性などすべてをチェックし、許可を出すべき所を、肝心要の構造計算をチェックが繁雑すぎて許可を出すのに時間がかかりすぎるという理由で、民間に委託した結果がコレだ。
だが、そうなってしまったのだから、諸悪の根源として責めるのもなぁとも思う。小泉氏を始めとする、お国のトップがそう決めたのだから、ある意味仕方が無いとも言える。でも、原因の一つではあるので、猛省してもらいたい。
指定確認検査機関でありながら、ろくなチェックもせずに建築許可をとった「イーホームズ」が、今回、最大の諸悪の根源といえる。
うがった見方をすれば、建設会社と結託して、なぁなぁ状態だった?とか思ってしまう。
チェック機能がしっかりしていれば、設計の段階で修正が出来たはずだからだ。
構造計算とは、人の命に関わるものだという意識が低すぎるからこそ、今回のような計算の捏造をし、建築材料のランクを下げたり使用量を減らしたりして建設費用を軽減し、建ててしまうなんてことができるのだ。
先日の夕方のニュースで、設計図なんかも写されていたが、一本の柱(中高層マンションにしては、細そう;;;70センチくらい?)に鉄筋が12本こっきり。
ありえなーい><
施工業者の下請け業者いわく、1階から最上階までの柱の太さは同一であったとか。
おかしいと思いつつ、この不景気に元請企業に詰問すれば、仕事は二度とこなくなるし、これで大丈夫な工法なのだろうかとも思ったというのだ。
それもありえないとは思ったorz
新工法が確立されていれば、普通、そういうものだとアナウンスされるだろーが。
知らずにいつも通りされたら、新工法も意味ないと思う。
しかもバレたから、退避してもらうけど、引越しの諸費用は30万上限で、購入資金は返しませんじゃ、信用して買った入居者が怒るのは当然ではないだろうか。
建て主であり問題の構造計算での設計を通した指定確認検査機関である「イーホームズ」も、彼らに姉歯建築士を紹介し、施工をも引き受けた木村建設も、材料費を安くというプレッシャーに負けて、言われるままに構造計算書を偽造し設計した姉歯建築士も、全員が加害者であるという自覚を持つべきである。
そして、被害者に謝罪と購入費用やホテルなどの建築費用の返還と、保障をすべきと思う。
たとえ会社を潰したとしても。
自分も被害者などというような、責任逃れは許されるべきものではない。
姉歯氏は資格剥奪の制裁を、行政から受ける。残りの二者にしても、処分を受けるだろうが、被害者を救済する方向での処分としてもらいたいものだ。
今回は、会社の利益優先がもたらしたものであるということを、全ての建築業に携わる方々の肝に銘じてもらいたい。
建て主も、ぼったくられる必要も無いが、必要以上に坪単価を下げて総工費を安くしようと、設計や建設を担当するものを苦しめ、結果的に人命を脅かす凶器を作らせるような真似をしてはならない。
行政も、本来自分たちがやるべきことを民間に委託したのだから、運用のありかたを再確認するしかないだろう。

民間に委託する。
利益優先とし、安全性などの信頼すべき拠り所をないがしろにする危険性が大きいことを、コレで知ることが出来たのではないだろうか。

蛇足ながら、NTTやJRとしての民間委譲の成功例ばかりを上げ、郵政民営化をこのまま推し進めて良い物だろうかと思う。民間の悪しき部分が出なければいいのだけれど。

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